【管理会社向け】原状回復の流れ|見積もり漏れ・工事遅延を防ぐポイント

【管理会社向け】原状回復の流れ|見積もり漏れ・工事遅延を防ぐポイント
RATIO美装 石丸部長
この記事の監修者
石丸 貴之 RATIO美装 工事部 部長

原状回復・修繕業務 8年 / フロアコーティング職人 6年

退去立会い・原状回復工事の現場に10年以上携わり、これまで5,000件以上の賃貸物件を担当。豊富な現場経験をもとに、物件ごとの状態や契約内容を踏まえた適切な原状回復工事の判断・提案を行っている。

専門分野: 住宅設備の交換・建具の修繕・室内の補修工事

担当業務: 退去立会い・リフォーム施工・在宅修繕

保有資格: 一般建築物石綿含有建材調査者

賃貸物件の退去が決まると、管理会社では退去立ち会い、室内確認、見積もり、オーナー確認、工事発注、完了確認など、さまざまな業務が発生します。

原状回復をスムーズに進めるために重要なのは、単に施工業者へ工事を依頼することではありません。

退去から募集再開までの流れを整理し、それぞれの工程で必要な情報を漏れなく次へ引き継ぐことが重要です。

特に、現地確認が不十分だと見積もり漏れや再調査が発生し、オーナー確認や設備手配が遅れると工事開始も後ろ倒しになります。

この記事では、不動産管理会社の担当者向けに、原状回復の基本的な流れと、見積もり漏れ・工事遅延を防ぐためのポイントを実務目線で解説します。

目次

原状回復の流れは6つの工程で進める

賃貸住宅の原状回復は、大きく分けると次の6工程で進みます。

STEP
退去情報の整理

退去日・契約内容・次回募集予定を確認

STEP
退去立会い・現地確認

キズ・汚れ・設備不具合などを記録

STEP
工事範囲・費用負担整理

施工箇所と負担区分を分けて判断

STEP
見積もり・工事発注

数量・単価・施工範囲・納期を確認

STEP
原状回復工事

工程管理・追加工事の確認

STEP
完了確認・募集再開

仕上がり・設備動作などを確認

それぞれを詳しく見ていきましょう。

退去予定を確認し必要な情報を整理する

原状回復は、退去立ち会い当日から始まるわけではありません。

退去予定が入った段階で下記項目などを整理しておくと、その後の工程を進めやすくなります。

・退去予定日
・賃貸借契約書
・原状回復に関する特約
・入居時の室内写真やチェックシート
・次回募集や入居予定 オーナーへの確認方法

特に重要なのが次の入居までのスケジュールです。

次回入居日が決まっているにもかかわらず、退去後に初めて工事内容を検討すると、設備や部材の納期によって間に合わなくなる可能性があります。

退去日だけではなく、「いつまでに原状回復を完了させたいのか」まで施工業者と共有しておくことが重要です。

退去立ち会い・現地確認を行う

退去立ち会いでは、室内の傷や汚れだけでなく、設備の状態も含めて確認します。

たとえば設備交換が必要になりそうな場合、故障しているという情報だけでは見積もりできないケースがあります。既存設備の品番、設置状況、寸法、配線・配管状況などが必要になることもあるためです。

また、傷や汚れについては写真を残し、可能であれば入居時の状態とも比較できるようにしておくと、後の負担区分整理にも役立ちます。

レシオ

ここで収集する情報が、その後の見積もり精度を大きく左右します。

工事範囲と費用負担を整理する

現地確認後は、「どこを原状回復するのか」を整理します。
クロス、床、建具、水回り、エアコン、照明、換気扇など、施工が必要な箇所を洗い出します。

ただし、ここで注意したいのが、「直す必要があるか」と「誰が費用を負担するか」は別の問題だということです。

物件として修繕が必要だからといって、その費用がそのまま退去者負担になるわけではありません。

見積もりを確認して工事を発注する

管理会社側では金額だけを見るのではなく、施工箇所、数量、単価、使用する材料、設備品番、施工範囲などが現地状況と合っているかを確認することが重要です。

また、オーナー承認が必要な物件では、見積提出 → オーナー確認 → 修正 → 再確認 → 発注という工程が発生します。

この確認期間を考慮せず工期を組むと、工事自体は短くても着工が遅れてしまいます。

そのため、退去前後の段階で「誰が・どの金額まで・どの内容を承認するのか」を整理しておくとスムーズです。

原状回復工事を実施する

工事内容は物件によって異なりますが、賃貸住宅ではクロスや床材の張替え、傷や穴の補修、設備交換、ハウスクリーニングなどが発生します。

また、施工中に現地確認時には分からなかった不具合が見つかることもあります。

この場合に重要なのは、施工業者が勝手に工事を進めるのではなく、追加箇所の報告 → 金額確認 → 承認 → 施工というルールを決めておくことです。

これにより、完工後になって想定していなかった追加費用が発覚する状況を防ぎやすくなります。

完了確認を行い次の募集へ進む

工事が終わったら、それで原状回復は完了ではなく、最後に下記のような項目を確認します。

・見積もり通り施工されているか
・クロスや床の仕上がりに問題がないか
・設備が正常に動作するか
・清掃漏れがないか
・残材やゴミが残っていないか

不具合があれば、次の入居者が入る前に手直しを行います。

「施工完了日」ではなく「完了確認・是正まで終わる日」を原状回復の完了日として考えることが、余裕のある募集スケジュールを組むポイントです。

原状回復工事の見積もり漏れを防ぐ5つのポイント

原状回復で手戻りが発生しやすいのが見積もり工程です。

見積もり提出後に「設備不具合を見落としていた」「品番が分からず再調査が必要になった」「クロスの施工範囲が違った」となれば、再見積もりが必要になり、着工も遅れます。

ここでは、見積もり漏れを防ぐ5つのポイントをまとめました。

① 確認項目を標準化する
② 写真だけではなく数量・寸法・品番まで確認する
③ 見積書の「一式」をできるだけ減らす
④ 追加工事が発生した場合のルールを決める
⑤ 工事前にオーナー承認範囲を明確にする

確認項目を標準化する

担当者によって現地確認の内容が変わると、見積もり精度にもばらつきが出ます。

玄関、居室、キッチン、浴室、洗面、トイレ、設備など、確認箇所をあらかじめ決めておくことが有効です。

写真だけでなく数量・寸法・品番まで確認する

写真は重要ですが、写真だけでは判断できない施工もあります。

設備交換や建具補修などは、寸法や既存品番が必要になることがあります。

「見積もりを作成する人が現地へ行かなくても判断できる情報になっているか」という視点で記録すると、情報不足を減らせます。

見積書の「一式」をできるだけ減らす

見積もりでは、施工範囲や数量が分かる状態にしておくことが重要です。

内訳が分かれば、「どこまで含まれているのか」「変更した場合にどこへ影響するのか」を管理会社やオーナーが判断しやすくなります。

追加工事が発生した場合のルールを決める

原状回復工事では、施工開始後に新しい不具合が見つかる可能性もあります。

そのため事前に、追加工事が必要な場合は写真と金額を報告してから施工するなど、承認ルールを決めておきましょう。

工事前にオーナー承認範囲を明確にする

見積もりが完成していても、オーナー承認が止まれば工事は進められません。

どの工事に承認が必要なのか、誰へ確認するのかを整理しておくことで発注までの時間を短縮できます。

原状回復工事の遅延を防ぐ5つのポイント

原状回復工事を早く終わらせるには、職人の施工スピードだけを見ても十分ではありません。

重要なのは、施工前から完了確認まで工程全体を止めないことです。

① 完工希望日から逆算して工程を組む
② 納期がかかる設備を早めに確認する
③ 見積り・承認・発注を止めない
④ 複数業者を使う場合は工程の責任者を決める
⑤ 完了確認まで工事工程として考える

完了希望日から逆算して工程を組む

「退去してから工事内容を考える」のではなく、完了希望日から逆算します。

特に次回入居が決まっている場合は、手直し期間まで含めて余裕を確保することが重要です。

納期がかかる設備を早めに確認する

設備交換が必要な場合、施工そのものより商品手配に時間がかかることがあります。

エアコン、給湯設備、水栓、換気扇、照明など、交換の可能性がある設備は早い段階で納期を確認しておくとスムーズです。

見積もり・承認・発注を止めない

施工会社がすぐ動ける状態でも、管理会社やオーナー側の承認が完了していなければ着工できません。

見積提出日、回答期限、発注予定日を決め、工程として管理することが有効です。

複数業者を使う場合は工程の責任者を決める

クロス、クリーニング、設備、電気、補修などを別々の業者へ発注すると、工程調整も必要になります。

「誰の工事が終わったら次に誰が入るのか」を明確にしておかなければ、現場が空いている期間が発生する可能性があります。

完了確認までを工事工程として考える

施工完了後に管理会社が確認し、不具合があれば手直しが必要です。

そのため、施工終了=募集可能とは限りません。

完了検査と是正工事までを含めてスケジュールを組んでおきましょう。

原状回復工事の流れを効率化するなら窓口の一本化も選択肢

原状回復で管理会社の負担が大きくなりやすいのは、実際の施工だけではありません。

退去者との日程調整、立ち会い、写真整理、見積もり、オーナー確認、各施工業者への発注、工事状況の確認など、多くの連絡業務が発生します。

さらにクロス、設備、クリーニング、補修などを別々の会社へ依頼している場合は、管理会社側が各社の工程を調整しなければならないケースもあります。

こうした場合は、退去立ち会いから原状回復までを同じ窓口へまとめることも、業務効率化の方法のひとつです。

現地で確認した情報が、そのまま見積もりや施工へ引き継がれる体制にすることで、情報の伝達漏れや確認の往復を減らしやすくなります。

RATIO美装なら退去立ち会いから原状回復までワンストップで対応

RATIO美装では、不動産管理会社様・オーナー様向けに、退去立ち会いから原状回復工事までをワンストップで対応しています。

原状回復工事についても、室内クリーニング、クロス・床材の張替え、傷や穴の補修、設備交換などをまとめて対応しています。

そのため、

「退去立ち会いと工事を別々の会社へ依頼している」

「複数の施工業者とのやり取りを一本化したい」

「退去後から次の募集までをできるだけスムーズに進めたい」

といった管理会社様は、原状回復の運用方法からご相談いただけます。

退去後の原状回復業務を見直したい場合は、現在の管理フローや物件状況を含めてRATIO美装へご相談ください。

原状回復工事の流れに関するよくある質問

原状回復は退去後、最初に何をすればよいですか?

まずは室内状態を確認し、施工が必要な箇所を整理します。

その際、入居時の写真や契約書、特約なども確認しておくと、その後の費用負担整理や見積もりを進めやすくなります。

原状回復の見積もりはいつ取りますか?

基本的には退去立ち会いや現地確認で施工箇所を把握した後に作成します。

ただし、次回入居までの期間が短い場合などは、退去前から分かっている設備交換や工事内容について事前に確認を進められるケースもあります。

原状回復工事にはどのくらいの日数がかかりますか?

施工日数は、部屋の広さだけでなく、工事内容や設備・部材の納期によって変わります。

そのため、「何日かかるか」だけを確認するのではなく、現地確認、見積もり、承認、材料手配、施工、完了確認まで含めてスケジュールを確認することが重要です。

原状回復費用は誰が負担しますか?

国土交通省のガイドラインでは、通常損耗や経年変化と、賃借人の故意・過失等による損耗・毀損では費用負担の基本的な考え方が異なります。

ただし、実際の負担については賃貸借契約や特約、損傷状況なども含めて判断する必要があります。
「工事として直す必要があるか」と「その費用を誰が負担するか」は分けて整理しましょう。

まとめ|原状回復は「施工前の情報整理」で流れが大きく変わる

原状回復は、退去情報の整理 → 退去立ち会い・現地確認 → 工事範囲・費用負担整理 → 見積もり・発注 → 原状回復工事 → 完了確認という流れで進みます。

管理会社が見積もり漏れや工事遅延を防ぐためには、工事を早くすることだけを考えるのではなく、退去時点で必要な情報をどこまで正確に集め、その情報を見積もり・発注・施工まで途切れなく引き継げるかが重要です。

特に、写真・数量・設備品番などの現地情報、オーナー承認、材料手配、追加工事のルールまで事前に整理しておくことで、手戻りを減らしやすくなります。

RATIO美装では、退去立ち会いの日程調整から室内確認、見積もり、原状回復工事まで一括で対応しています。

退去後の原状回復業務を効率化したい、複数業者とのやり取りを減らしたいという管理会社様は、お気軽にご相談ください。

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